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葵さんと黒猫さんの徒然なる日常(と言うかただのかけあい) 偶に長編キャラがパーソナリティを務めるキャラすた! を行います。 基本的にみんなお馬鹿さんです。 感染しないようご注意下さい!
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企画倒れ必至のショートショートシリーズ。
今回は桜を見ていてふっと浮かんだ情景を書いてみました。

桜と言えばお花見ですが、散り際潔く、なんて戦争のイメージなどで嫌われたりもしてますよね?
世代や人の色々な考え方がありますからとやかく言うつもりはありませんが、身に覚えのない理由で嫌われる桜は可愛そうかな、なんて同情してみたりします。

私が一番好きな桜は桜吹雪のまいしきる、満開を少し過ぎた頃の桜です。
一番豪華だと思うんですよね^^

* * * * *


桜の木が立っていた。
春の香りを漂わせ、満開に咲き誇る花の下で、少女が一人佇んでいた。
黄色い帽子を被り、制服のベストを羽織った幼い少女は、春を咲き誇る桜をジッと見あげていた。
そんな彼女を呼ぶ声に、少女は元気よく返事をして桜の下を去っていく。

桜の木が立っていた。
青々と茂らせた葉を、高々と天に伸ばした枝の下で、少女が一人腰掛けていた。
白いスケッチブックに黒い鉛筆で街をデッサンする少女は、桜の木の根本に腰を下ろして、ジッと街を見つめては手を動かしていた。
そんな彼女を呼ぶ声に、少女は慌てて道具をまとめると桜の下を去っていく。

桜の木が立っていた。
はらはらと落ちていく朽葉が風に舞う中で、少女が一人佇んでいた。
艶やかな黒髪を下ろし、白いコートの胸元をかき合わせながら少女は時計を見ながら佇んでいた。
そんな彼女を呼ぶ声に、少女は顔をほころばせて桜の下を去っていく。

桜の木が立っていた。
深々と降る雪を枝に乗せ、じっと春を待つその下で、少女が一人腰掛けていた。
寒さで真っ赤になった素足にぼろを纏った少女は、凍える身体を温めるように強く抱きしめていた。
そんな彼女を呼ぶ声に、少女は桜を振り返る。

桜に積もった雪はゆっくりと溶け、やがて綻んだつぼみから柔らかい桜色の花が咲く。
ウグイスの鳴く声と暖かな陽気に、少女はうとうととまどろみ、眠りに落ちていく。

桜の木が立っていた。
春の香りを漂わせ、満開に咲き誇る花の下には、まだ、誰の姿もない。


* * * * *

後書き

最初は桜の木の下で春、出逢い別れる人、物等をイメージしていたんですが、なかなか上手く書けずに少女と限定してしまいました。
最後の少女がどうなったのかは皆さんのご想像にお任せします。
桜の糧となったのか、親切な人に保護されたのか……

ハッピーエンド好きな作者としては後者希望です(オイ)

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